ディープラーニングの世界

最近は「ディープラーニング」の世界を少し研究しています。

近頃、ニュースで「囲碁の名人対コンピュータ」といったいわゆる「AI(人口知能)」の話を聞くことがあると思います。グーグルやフェイスブックといった企業も、今までは「モバイルファースト」(スマホを最優先でやるぜ)と言っていましたが、最近は「AIファースト」(やっぱり人工知能を最優先でやるぜ)と言い出しています。

なぜ急にAIが注目され始めたのでしょうか。

ひとつのきっかけは「ディープラーニング」という技術です。

昔からある技術のひとつに「画像認識」というものがあります。ある物の画像をコンピュータが読み込むと「これはリンゴだ」とか「これはミカンだ」というように、画像を認識(判別)するというものです。これを応用したものとしては、デジカメの顔認識機能や、文章の画像を文字に変換する機能(OCR)、パスワードの代わりに顔で認証する機能などがあります。

この画像認識技術は昔から様々な企業によってその精度が競争されてきました。画像認識のコンテストも例年開催されています。
2012年に行われたコンテストで、ある大きな事件が起きました。それは、あるチームが「ディープラーニング」という技術を使って出場したところ、他のチームより圧倒的に高い精度で優勝したのです。

ディープラーニング自体は実は1970年代からある技術でしたが、この優勝により一気に見直されました。ディープラーニングの技術者は当時世界に50人程度しかいなかったという話もあり、その会社をグーグルが買収したという話もあります。

ディープラーニングとは、「ディープ」という言葉が付いているように、プログラムが何層も深い学習をします。ある「インプット」、たとえば「画像」をディープラーニングプログラムに渡すと、それを学習し、「これはリンゴです」と言った結果を返します。

すごい点は、それを少しずつ「学習」する点です。通常、プログラムは「こうきたらこう返す」という決まったロジックしか処理できませんが、ディープラーニングのプログラムでは、少しずつ学習して、返せるようになります。
最近では、技術者ですらその学習ロジックは分からない場合があるそうです。これは恐ろしいことでもあります。SF映画なんかで「ロボットが反乱を起こす」なんてストーリーがありますが、それもあり得ないとは言い切れない時代になってきたと言えるかもしれません。

そう聞くと少し怖いですが、もっと便利で安全な使い方がたくさんあります。
フェイスブックはAIに力を入れていますが、彼らが目指している世界は、たとえばフェイスブックメッセンジャーに「〇〇ホテルを予約したいんだけど」と送ると「何月何日ですか?」「何名ですか?」というようにAIが自動で返信をし、予約の完了まで行ってくれる、といったサービスです。

これは革命的な変化です。今までホテルを予約したければ「電話」「WEB」「アプリ」くらいしかありませんでした。WEBで予約ができるようになった時点で「便利だなあ」と感じていたわけですが、AIを使えばおじいちゃんから子どもまでもっと簡単に予約ができるわけです。企業から見れば人件費の削減にもつながります。
グーグルやフェイスブックがAIに力を入れているのは、こうした「アプリの次」の世界での覇権を狙っているからです。

これは、弊社のようなシステム開発会社にとって脅威か、チャンスかというと、私はチャンスだと思います。ディープラーニングを勉強しているとわかりますが、その技術を学ぶことと、よいサービスを作ることは別の話だからです。

javaプログラムの技術が分かるからよいシステムが作れるか、というとそうではないように、ディープラーニングを学んでも、それをどのようなサービスで、どのようなプログラムで提供するかは千差万別だからです。

現状では、弊社も含めた様々な「ソフト開発会社」が存在しますが、そのうちたくさんの「AI開発会社」が現れることでしょう。私たちの子どもの時代にはそれが当たり前になっているかもしれません。

弊社も、先頭を走れるようにこれからも技術の習得に努めます。

直近では画像認識技術を使ったサービスの開発を進めたいと思います。

 

株式会社トランスコミュニカ 山本譲治